講義名
近現代史上のアジア認識の軌跡: トランスナショナル・ナショナリズム
講師
朴尙洙(高麗大学)
講義日
2015/10/20
国内外から研究者を招聘しておこなわれる特別総合科目IV(東アジア共同体論-学際的アプローチ) において10月20日(火)、韓国・高麗大学教授の朴尙洙先生による講義(「近現代史上のアジア認識の軌跡: トランスナショナル・ナショナリズム」)が行われました。
朴先生は、冷戦終焉後の東アジアにおけるトランスナショナルな現象の増加を指摘したうえで、歴史学の視点から、近代以降に台頭したアジア認識の軌跡を振り返りながら、現在の東アジア議論、そして未来を展望してくださいました。
朴先生は、近年の「東アジア」議論の限界として、
(1) 東・西洋二分法に基づく西洋に対する文明的対抗意識
(2) 東アジア地域秩序の構想における主権問題処理の曖昧性
(3) 各国家間の力の非対称性についての考慮が不十分
(4) 脱中心・周辺的視覚の意義と非現実性が共存
という諸点を指摘し、「ナショナリズムを克服できないトランスナショナリズム」の問題について議論を深めてくださいました。
講義後、学生からは、(ナショナル‐トランスナショナルという視点において)最近の韓国の国定教科書問題が、韓国の歴史観に今後どのような影響をあたえるのかといった質問が出され、現在の問題も含めた議論が行われました。
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(*本講義は一般財団法人ワンアジア財団の助成による講座です。)