報告:「トランプ政権と日米中関係」第6回研究会

プロジェクトの概要

国際社会の焦点となっているアメリカと日本、中国を中心とした今日的な問題について、トランプ政権の動向を追いながら、多角的な状況分析を行う。

第6回研究会:「インテリジェンスが機能する条件」

 防衛省の情報本部分析部主任分析官として長く情報分析を手掛けてきた、研究会メンバーの樋口敬祐氏による「第二次トランプ政権と日米中のインテリジェンス政策」についての発表が行われた。今国会で国家情報会議設置の法案が成立した折であり、極めて時宜を得たものであった。

 樋口氏は最初にインテリジェンスの定義、その活動には「生成」「防御」「使用」の3つの側面があること、国家にインテリジェンスが問われる今日的意義などを説明。

 次にアメリカと中国のそれぞれのインテリジェンス体制の成り立ちと特徴についての解説を行った。国家のインテリジェンス機関の区分の1つとして中央集権型と委員会型があり、両国は中央集権型に属し、中国は5つ、アメリカは18のインテリジェンス機関から成り立っている。陣容としては立派なものだが、両国ともそれらが有機的に機能しているとはいえない点を指摘した。とりわけ、各機関が縄張り争いや手柄争いから情報を抱え込む「ストーブパイプ化」の弊害は根深いと分析する。

 但し、アメリカの場合はそうした機能不全を克服すべく2005年に国家情報長官室(そのトップとして国家情報長官(DNI: Director of National Intelligence)を創設し、情報の統括を図る制度的改革を継続している。しかし、トランプ政権においては、それは評価されていないようである。その証拠に、国家情報長官室の縮小が続いている上、トランプ氏は歴代の大統領が受けてきた、国家情報長官による毎日の大統領ブリーフィング(状況説明)をほとんど受け付けていないという状況にあることを解説。その一方で、同氏が好む(耳障りのいい)情報だけが、個別に伝えられるという状況が生まれている。もっとも、これは中国の習近平政権でも同様の現象が見て取れる。つまりインテリジェンスをどのように受け入れ政策等に活かすかは、政治指導者のインテリジェンスに対する姿勢次第であると指摘する。

 翻って日本のインテリジェンス体制に目を向けると、1952年に内調を核として細々とスタートしたものの、戦時中の暗いイメージから否定的にみられる傾向があったこと、以前から日本の情報管理の在り方について「上がらず」「回らず」「漏れる」と揶揄されていたことを指摘。今回の国家情報会議の設置については一定の評価をしつつも、人員が増強されているわけではないこと、各省庁からの出向者の適性な評価、専門的な人材の十分な確保などについて、多くの課題があることを指摘した。さらには日本のこれまでのインテリジェンスの感度が鈍かったことや、インテリジェンスの重要性を政府や議員が自覚することが、実効性のあるインテリジェンス体制にするために不可欠であると結んだ。今回は説明の途中から質問が相次ぐだけでなく参加者同氏の討論に展開するなど、実りの多い研究会であった。

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